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祈りの記憶が満ちる島

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「祈りの記憶が満ちる島」

 

長崎県小値賀町野崎島。

 

大前左官さんの応援で弟子と2人、行って来ました。

 

誰一人いない、エメラルドグリーンの砂浜。

野生の鹿だけが住む、段々畑。

ここにはかつて人が住み、確かに650の営みが存在いていました。

小高い丘遺された、無人の教会。

 

旧野首教会。

1908年、教会建築の名工、鉄川与助よって設計・施工されたものとしては初の煉瓦造りの教会。

 

私たちの熊本県内では、「熊本市:手取教会」・「水俣市:水俣教会」・「天草市:崎津教会」・「天草市:大江教会」を手掛けられています。

 

昭和60年に全面改修。教会の周辺には、急斜面の山肌に作られた石垣、段々畑の跡が残り潜伏キリスタンの人々が暮らした集落の面影を残しています。

2018年には、野崎島の集落跡が「長崎と天草地方の潜伏キリスタン関連遺産」の構成資産の一つとして、ユネスコの世界遺産に登録されました。

屋根の痛みが見受けられ、雨漏れによる損傷が進んでいる状況でした。

傷んだ躯体に処置を行いながら、約10カ月を掛けて修復予定。

 

冬場は人が立ち寄れない程の環境。

 

風はかなり強かったのですが、見惚れしまい程の雄大な自然。

 

時が止まった様な風景に、壮絶な時代の歴史を思い浮かべていました。

厳しい環境下の中で、今回の案件を引き受けられた仲間の強い「想い」に頭が下がります。

 

次回の施工予定は、来年3月着工。

 

高度な西洋ロマネスク建築様式を現地で学びながら、潜伏キリスタン歴史と向き合い、誠実に取り組んでいきたいです。