夢の城
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和歌山県南記白浜の静かな海に、突如あらわれる「夢の城」。
1989年、日本がバブル絶頂期にヨーロッパ、アフリカ、アジア、そして日本各地から夢に魅せられた一流の技術を持つアーティストが集結し「世界の数寄屋」を作る壮大なプロジェクトが始動した。
世界のどこにもないオリジナリティを追求し、世界中の城を融合させた夢の城「ホテル川久」は、設計:永田・北野建築研究所により、
総工費400億かけて建築された。
今回、その様な「伝説のホテル」に日本左官会議の研修で行って来ました。



印象的な瑠璃色の瓦。
使われている瓦は、中国北京の紫禁城の瑠璃瓦。
瑠璃瓦の色は、皇帝以外使うことが許されなかった「老中黄」。
神々しい風合いに気品の高さ感じます。
独創的な煉瓦装飾。
イギリス産 IBSTOCK社の煉瓦。
使用された煉瓦は73種類140万ピース、3500t。
施工には、イギリスの職人80名が行い、巧妙で美しい煉瓦模様の外壁を造り上げてあります。

曲線美を放つ、庇。
高知城にも使用された全長45mの「土佐漆喰」の大庇。
当時、腕利きの職人達により、塗り継ぎが出来ない様に50人がかりで1日で仕上げたそうです。


今回、一番拝見したかった石膏マーブル「シュトックマルモ」の柱。
直径1,6m×高さ7,4mの柱が全部で24本、輝く金箔天井を支えている。
久住章親方がドイツに渡って習得。
久住親方の呼び掛けにより、全国より腕利きの職人を集結させた団体「花咲か団」施工。
1年半もの月日を費やし実現した、最高峰の伝統技法。
大理石が取れないドイツ・オーストラリアで19世紀~20世紀にフェイクの技法として発達した。
川久のシュトックマルモの柱は、蒼い円形の列柱として世界でも唯一無二の作品である。





柱には、縦方向に継手あるようですが、目視では全くわかりませんでした。
阪神淡路大震災の影響で多少、劣化も見受けられましたが、引き込まれそうな存在感。
人の手で此処まで造り込める事に、ただ感服するばかりでした。
又、食事したレストランにも黄土系のシュトックマルモの柱を拝見しました。

こちらも圧倒的なものでした。
その他にも、お茶室の切り返し・糊土仕上や1万3000m2の廊下の珪藻土ブラッシング仕上、イタリアの職人によるカルチェラサータ等、素晴らしい左官仕事を拝見させていただきました。






研修会は、1泊2日に渡り久住章親方による技法の説明や建築当時のお話等で進行され、親方が最近取り組まれておられる「黒漆喰面白磨き」のノウハウも拝聴出来、全国各地から参加された有志の方々と、大変有意義な時間を過ごさせて頂きました。



この様な機会に参加出来る事に改めて感謝し、貪欲に技術と向き合う事の大切さを改めて感じる旅となりました。
